1.面接指導について
(1)面接指導の申出方法
・ストレスチェックを受検して高ストレス者と判定された者が、書面や電子メール等で申出を行うものであり、事業者は、
その記録を5 年間残すようにする。
(2)面接指導の考え方と実施する医師
・医師は、高ストレスの原因を把握し職場内で実施可能な対応を優先して面接指導に当たる。
・労働者が既に専門医を受診している場合でも、ストレス要因が職場に内在しているものである場合には、職場の環境を
熟知している産業医が対応することが望ましい。
・当該事業場の産業医又は事業場において産業保健活動に従事している医師を推奨する。また、外部の医師に委託する
場合にも、産業医資格を有する医師に委託することが望ましい。
・必ずしも精神科医や心療内科医が実施する必要はありません。
(3)実施時期
・面接指導は申出があってから概ね1月以内に実施する必要があります。
・面接指導は原則的には就業時間内に設定し、対象者が面接指導を受けやすい環境を整える。
2.実施方法
(1)事前に情報収集
・事業者や本人からストレスチェックの結果、労働時間等に関するチェックリスト、心身の健康状況、生活状況の把握の
ためのチェックリスト、抑うつ症状に関する質問等を収集する。
・定期健康診断やその他の健康診断の結果、ストレスチェックの実施時期の確認、職場巡視における職場環境の状況に
関する情報も収集する。
(2)面接指導の手段と方法
・原則として対面で実施すること。但し、一定の条件を満たした場合、事業者の判断でICT を活用した面接指導を実施
することも可能である。
・面接指導の場所は、秘密が厳守されるよう配慮する必要がある。
(3)医師が確認する内容と評価
・ストレスチェックの結果に加え、当該労働者の勤務の状況、心理的な負担の状況、心身の状況を確認する。
(心身の健康状況、生活状況の把握のためのチェックリストを参照)
・事前に収集した情報とその場で聴取した状況から医学的に判断して、本人に対して指導する。
・疲労、不安、抑うつ等のストレスが、どの程度か、業務と関連するかどうか、業務と関連する物であれば、業務の過
重性や業務の心理的負担について評価する。
・特に、抑うつ症状については、うつ病等の可能性を評価する。
(4)面接による評価を踏まえた本人への指導・助言
・事前の資料情報とともにその場で聴取した状況から医学的に評価した結果をもとに、対象者に対して、生活上、産業
保健上の観点から具体的に指導・助言する。
・あくまでもセルフケアの指導・助言と専門医療機関への受診勧奨の要否を判定するにとどまり、うつ病等の診断を行
うものではなく、結果によっては、専門医療機関への受診を勧め、必要であれば、紹介状を作成する。
(5)個人情報の保護と事業者への報告についての同意
・面接指導を行うに当たり、面接指導の結果(個人情報)をどのように利用するか、労働者に説明し、同意を得ること。
・面接指導の結果、就業面の配慮や職場環境の改善が必要であると判断した場合には、事業者に意見を述べることにな
ることを、対象者に伝えておく。
(6)医療機関等との連携と産業保健スタッフによるフォローアップ
・メンタルヘルス不調者を把握した場合など、必要がある場合は、医師の判断により、産業保健スタッフによる継続的
な対応を行う。
・面接指導を経て専門医療機関の受診を開始した労働者については、診療環境が混乱しないよう、受診先に任せる。
3.面接指導の結果についての医師からの意見の聴取 (面接指導結果報告書を参照)
(1)面接指導を実施した医師(当該事業場の産業医が望ましい)から意見を聴取すること。
(2)当該医師が、事業場で選任されている産業医以外の者であるときは、事業場で選任されている産業医か
らも、面接指導を実施した医師の意見を踏まえた意見を聴くこと。
(3)面接指導実施後、遅滞なく意見を聴く必要があり、遅くとも1月以内には聴くこと。
(4)労働者のストレスの程度等の健康状態から緊急に就業上の措置を講ずべき必要がある場合には、可能な
限り速やかに意見聴取を行うことが必要です。
(5)意見を述べるに当たっては、就業上の措置だけにとどまらず、必要に応じて、作業環境管理、作業管理、
健康管理の徹底、セルフケアやラインケアに関する労働衛生教育の充実、過重労働対策やメンタルヘル
スケア体制の確立等、労働安全衛生管理体制の見直しなども含める。
(6)職場環境の改善に関する意見は、人事労務管理に関わるものが多いため、人事労務担当者や管理監督者
とも連携して対応することが重要である。
4.就業上の措置の決定と実施
(1)事業者が労働者に対して面接指導の結果に基づく就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該労
働者の意見を聴き、不利益な取扱いにつながらないように留意すること。
なお、労働者の意見を聴くに当たっては、必要に応じて、当該事業場の産業医等の同席の下に行うこと
が適当である。
(2)また、就業上の措置を講じた後、ストレス状態の改善が見られた場合には、当該事業場の産業医等の意
見を聴いた上で、通常の勤務に戻す等適切な措置を講ずる必要がある。
5.結果の記録と保存
・事業者は、面接指導の結果に基づき、次に掲げる事項を記載した記録を作成し、これを5年間保存しなけ
ればならない。
① 面接指導の実施年月日
② 当該労働者の氏名
③ 面接指導を行った医師の氏名
④ 当該労働者の勤務の状況
⑤ 当該労働者の心理的な負担の状況
⑥ その他の当該労働者の心身の状況
⑦ 当該労働者の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見
<参考資料>